睡眠にすこし失敗して、コーヒーで乗り切る一日を過ごした。連夜、「成瀬」を止められなかったせいだとわかっている。昂った神経を鎮めるつもりもあって、帰り道に柴又に寄って散歩をした。
駅前から歩き、帝釈天をお参りし、参道を駅前へ戻った。夕暮れの柴又駅で電車の発着を眺めれば映画のムードだ。「お兄ちゃん、どうしても行っちゃうのね」と。高校生の満男を電車に乗せても絵になる。カメラを置くべき位置がぼくにはばしばし分かる。山田組のキャメラマンである自分を妄想してしばらく過ごす。
駅の近くの昔ながらの中華食堂に入った。3組いた客は居合わせた顔見知り同士という感じで、店の女将さんも交えて会話が活発だった。落語を聞いているみたいだなと思った。ラーメン・半チャーハンのセットは美味かった。やはりチャーハンはプロが作ったものが格別だ。女将さんは「お疲れさまでーす」と言ってぼくを送り出してくれた。腹と心が癒された。
そのうちに京成の1日乗り放題切符でも買って鉄道を楽しみたい。京成には疎い。
疲れ果てた。走らず。
「成瀬」のすでに読み終えた物語を拾い読みして寝る。

「わかります」


