朝、おゆきはんの店から送ってもらったチーズが届く。すこし泣く。
実際的な見地に立っても、贔屓のチーズ店があるというのはなかなかよいものに違いない。
現場を丸の内で終えて、中央線に乗る。いや、ほんとに東京がでかい。困った。西荻に着く。
句会の前に片付けておきたい仕事があって、北口の老舗の喫茶店に入った。神戸のプロローグがあんまりよかったから、比較研究もしておきたかった。ひとりあたりのスペースが驚くほど狭いのはいかにも東京だが、ここのコーヒーの味は最高だ。これでタバコが吸えたらよいのだが、いつからか禁煙の店になった。東京は条例の関係もあって世知辛い。2杯飲んだ。どんぐり舎のことだ。
さて、さいのね俳句会の句会だった。
いやあ、よく笑った。やはりゲームとして面白い。ぼくは店主のまいこさんに、今回は最多得点を取り主宰としての権威を高めておくと宣言していたのだが、振るわず。そしてそのまいこさんが雑詠で最多得点を取り、「高得点を狙っていた」と語った。前回は盛大な破調の句で惨敗し、それが相当に悔しく、今回は定型で分かりやすいものにしたそうだ。その作者の意外な器用さ、利口さに、座は紛糾した。これが今回のハイライトであった。ぼくもまいこさんの見方が変わってしまいそうだ。
と、このように、仲間の知らない一面が見えたりすることも句会の魅力だ。その点では、初めて来てくれた読書会の仲間のS子さんの句には新鮮な感動があった。「なぜ『犬』に『きみ』とルビを振ったんですか?」と訊いたら、「大切な犬だからです!」ときっぱり言われ、気圧された。このときほどS子さんから活気を感じたこともなかった。それにもうひとつの句は野球の句だった。どちらもぼくから見たら意外な一面だ。
ぼくは今回もA子さんの句を取って、それは素敵な恋の句なのだが、「コミーさんにそういう気持ちが足りないから、欲しくなるんです」と言われてしまった。どうもそうらしいとは思う。
拙作は下の2句。
刺青の男も病んで秋燕 (兼題「刺」)
末妹は実務に長けて秋の雨 (当季雑詠)
どちらも体験から作った。前者はもう少し人物と場面を特定してもよかったか。明らかに極道のじいさんを大学病院で見たのだった。後者は神戸でおゆきはんとお姉さんと一緒に過ごしたときのこと。これは立派な恋の句なのだが。
次回は10月16日、兼題は「国」です。興味のあるかたは私かさいのね庵の店主までご連絡ください。

「そのシッターこそおれの弟子なんだから、おれは鼻が高いよ」
