爽やかや紐一本に身を預け、0km, 20260913

5時の目覚ましでぱっと起きて、コーヒーを入れる。エルビス・コステロなんか聴きながら一服して、馬鹿に機嫌がよい。ふだんはコステロを聴かない。

6時半に家を出た。新横浜から8時過ぎのこだま号に乗って、新大阪には昼前に着いた。「ぷらっとこだま」を利用してグリーン車に乗ったからじつに快適。車内は終始空いていた。

淀川を渡るだけで愉快だ。この無条件の想いこそが郷愁だろう。生まれた土地はここからすぐ上流のところだ。

梅田を散策し北側の再開発を吟味する。偉そうに。観覧車に乗って街を一望するつもりが、ゴンドラの扉が閉められると恐怖に襲われ、なかばパニックに陥る。景色を見るどころではなく、なんのために乗ったか分からない。だだの肝試しになってしまった。シャツが嫌な汗で濡れて面白くない。

神戸へは阪急で向かう。阪急梅田の構内は停車位置を変更する工事が行われており、電車がずらりと横に並ぶ光景は当面のあいだ見られないようなのだ。

ぼくの最も古い記憶のひとつはこの駅で阪急電車を眺めたことなのであって、この場所が鉄道ファンとしての原点だということを、今回改めて確認した。ここから京都方面に行けば生まれた街があり、神戸方面に行けば小学校に通った街がある。個人的な意味を持つターミナルなのだ。

阪急三宮で降りて、まずはおゆきはんのチーズ屋に向かう。「はやかったやん、で体重何キロになったん、どうやってきたん、こっち暑いやろ、チーズなんか食わんでええって」と歓迎してもらう。ひとつずつ質問に答えようとがんばって、なおかつ必要に応じて異議を立てたのだが、なんだか無駄口をたたいたという気がする。滞在中の食事にするためのチーズをたっぷり仕入れた。店の名は「ナチュラルチーズ専門店フロマジュリー ミュウ」と言う。

元町の宿に荷物を置いてから新神戸駅まで歩き、ロープウェイで山に登る。ここでもやはりゴンドラの中でパニックに陥り、後悔する。乗る前は乗りたくなっちゃうのだから不思議だね。無論、目的はあって、山に抱かれる新神戸駅とその奥の街並みを撮りたかったのだ。が、さすがに上手くいっていないと思う。年甲斐もなく泣きべそをかいていたのだから。もう、ひとりでゴンドラに乗ることはよそうと決めた。パニックは危ないから。

三宮の駅前に戻って、仕事を終えたおゆきはんと合流して「にしむら珈琲」に入る。この人、明日の夕方から会って遊ぶ約束をしているのだが、すでに旅の初日からたっぷり話をして、これは前夜祭かな。

宿に帰って、おゆきはんとこのチーズと、いすずベーカリーのパンでディナーとする。チーズは絶品であった。

関ケ原を過ぎると天気が変わって、旅の気分がいよいよ高まる。
観覧車から街と遠くの山々を見渡したかった。腰が引けて、目の前の阪急のビルを撮るのが精一杯。これでまだ半分以下の高さだったと思う。
観覧車を降りたあとのフォト・スポット。足のマークのところに立って写真に撮られろ、ということらしい。すると撮る位置はここか。ぼくは無論、撮る側。矜持かな。
とても個人的な鉄道の原風景、阪急の梅田駅。改良工事によって画面奥のホームの停車位置が後ろに移っており、先頭車両が横に並ぶシーンは見られない。それでも最高だ。駅ってこれだ。
あえて車両が少ないときにホームの中程から。
梅田を出発した宝塚方面への電車が淀川を渡る。阪急梅田名物の並走である。
阪神間の街並み。奥の紀伊半島には積乱雲。派手な夜景の写真を撮らず、妙に申し訳がない。
神戸の市街地側。
山に抱かれる新神戸駅。
ミュウのチーズの盛り合わせ。ぼくがチーズの違いの分かる人間だったらどれだけよいことだろうか。ベッドに寝そべって食った。最高。

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