ひめもす、猫を揉んで過ごす。
水木しげるの『白い旗』のアニメ化の制作現場を撮ったNHKの番組を見た。その中で水木しげるが戦時中に書いた手記が紹介された。
「──今は考へる事すらゆるされない時代だ──画家だらうと哲学者だらうと文学者だらうと労働者だらうと土色一色にぬられて死場へ送られる時代だ──こんな所で自己にとどまるのは死よりつらい──だから一切を捨てて時代になつてしまふ事だ──」
この言葉の力がまずあって、水木しげるの作品が出来上がるのだと改めて思い知らされる。NHKは、よい番組はとてもよいのだ。
そのNHKといえば、である。毎週録画して楽しみにしていた「日曜美術館」があんなことになってしまって、今後はふつうに見られるかどうか、わからない。いまはとても悲しい。それこそ、水木さんの言葉が重たく響く。氏がどれほど捨て鉢になって「時代になつてしまふ事だ」と書き表したのかと考える。

「目に見えるものはすべて君のものさ。目に見えないものが飼い主のものだよ。はは」

