自宅の前の坂道を1キロほどまっすぐ登っていくと、ジャイアンツの新しい二軍球場に着く。「ジャイアンツタウン スタジアム」である。今月の一日(2025年3月1日)に開場し、こけらおとしのデイ・ゲームにはスワローズが招かれたのだが、どうせチケットは争奪戦だろうと高を括り、行かなかった。それに仕事も入っていた。
雨が降っていたが、ジョグのついでにようやく球場を見学してきた。なにもこんな悪天候のときに、とは思ったが、暇がなかったり、暇はあっても坂を駆け上がる体力がなかったり、理由はいくつかあって何日かが過ぎた。
もともと今日は試合の予定がない。雨も降っているから来場者もほとんどいない。親子連れが2組いるだけだった。解放されている2階のコンコースに上がると「ドムドムハンバーガー」が営業している。試合がない日でも売店でテイクアウトして客席で食べられるということらしい。

バックネット裏からグラウンドを見渡す。なるほど、ホーム・プレートも近く、なかなか見やすそう。残念なのはバックネットの下、グラウンドに面したところに、日本の球場にありがちな「部屋」が並んでいること。これはどうも気に食わない。
プロ野球の球場だと、甲子園と東京ドームはこの部屋がない。その分だけ客席の最前列も低い。比較的新しい広島のマツダスタジアムや北海道のエスコンフィールドでさえ、この部屋を設けるから嫌になる。競技運営のために必要なのだろうが、テレビ中継でもつねに映る場所だからじつに不粋である。趣が感じられない。甲子園と東京ドームがどちらも聖地として野球ファンに認識されていることと、ホームベースうしろの美意識が、無関係とは思われない。なんだって物語には情緒が大切である。





ちょうどテレビ・クルーがロケを行っていた。とくに気にも留めずにいたのだが、ふと気がつくと真後ろに彼らが迫っていた。テレビ・インタビューに捕まった、と反射的に身構えたのだが、そのロケ隊を率いるタレントがジャイアンツOBの宮本和知だとわかり、ぼくの心は一瞬で小学生のあのころに戻った。少年時代は巨人ファンだったのだ。宮本はすぐ近くにいた親子連れに声をかけた。ロケ隊はぼくのことなんか見向きもしなかった。そりゃそうか。ずぶ濡れだし、髭面だし。なにかの番組で宮本に驚くランニング・ウェアのずぶ濡れの髭面の男が見切れていたら、それはぼくだ。

球場を出る。往路は稲城駅側から坂を上って来た。復路は京王よみうりランド駅側へ約300段の階段を下りた。球場は二つの駅の中間の丘のてっぺんにあり、どちらの駅からも歩くと15分ほど。どちらから来ても上り下りの高低差はそう変わらないだろうが、歩道の歩きやすさは稲城駅側のほうが優れる。試合がある日はシャトル・バスも運行されるらしい。
まだ寒い日がつづくが、野球のことを考えると気持ちも上向いてくる。また冬を乗り越えたのだと感じられる。


夕飯はヤマイモを擦って出汁と卵黄と醤油で味付けした。それに玉子の味噌汁と冷や奴と米。