ひめもす机に向かう。冬休みを利用する所存。
ポール・オースターの『バウムガートナー』の読後感に浸って昨日今日を過ごしている。後輩が制作に携わったから、という理由で手に取ったのが重要で、これは未知の本との偶然の出会いを積極的に享受するために他ならない。読書会に参加するのもだいたい同じ理由だ。とは言え、音楽にしろ文学にしろ、いわゆる「ジャケ買い」はしたことがないかもしれない。こんどやってみるか。やらないとは思うが。
この小説についての私感。
癌に侵されている70代の作者が、妻に先立たれた70代の老男性を主人公にして、すこし滑稽ともいえる現在の日常と回想、妻が残した手記や詩の引用という形を用いて重層的に、あえて一言で言ってしまえば「人生」を描いたこの中篇小説は、順調にいけば約30年後に70代を迎えるぼくにとって、歳を重ねることのガイドになりそうな一冊だ。妻の手記のパートはとくに好み。それから最後の章の自動車と運転手の比喩は面白く読んだが、深く理解したとは言い難い。このあたりはもう一度ゆっくり読もう。素晴らしい小説に出会ったというたしかな感覚がうれしい。
相変わらず走らず。走ったほうがよい。とりあえず池澤夏樹の近著を手に取る。『ノイエ・ハイマート』。



