飼い主の3泊4日の留守のあいだを孤独のうちに過ごした猫は、これと言って困ったこともなさそうだった。たまの一人暮らしは、猫にとっても飼い主にとっても必要だという気もする。だが、遊び相手がいないことには閉口するらしい。それでたっぷりとムツゴロウ式でもって戯れてやり、ぼくは顔も服もあっという間に毛に塗れた。猫じゃらしを振ってやると猫がいつもより高く跳躍するから笑った。猫は空中で捻りを加えたりしてぼくを感心させた。
仕事の合間に家の近くの三沢川沿いを走った。この河岸はソメイヨシノの並木道である。旅に出掛けているうちに満開を1日過ぎたようだ。これで東京の今年の桜を見たことにしよう。年末のロウバイから始まり、このソメイヨシノが散る頃までが、個人的な感覚ではひとつの季節だ。桜から足元に目を移せば、すでにツツジの花も開き、紫陽花の若葉が芽吹き始めている。空には積乱雲も見られるようになった。なにより身体の芯が温まってきた。走っていてそう感じる。Gタウン・スタジアムまでの階段をダッシュで登り、広い空を見渡して、これはもう夏だ、と認定した。もちろん一般的に言えば晩春の頃である。心地よさを惜しみつつも、つぎの季節へ気が急くこの感覚こそ、晩春らしさだろう。これからの季節の街や山の新緑はいいものだし、シャツ1枚で過ごすことを想像するだけで心が浮き立つ。




