今日はなんといっても角田裕毅の予選P5だ。どう考えたって最高の土曜日である。
2025年のF1は、メルボルンのアルバート・パーク・サーキットで始まった。やっぱりF1の開幕はオーストラリアGPがいい。近年は中東での開幕が多かった。中東のサーキットやファンが悪いとはいわないが、ここメルボルンのレースは、公園の周回路を閉鎖した特設のサーキットで行われる。街のなかにあり、人も多く、お祭りとして盛り上がる。観客とパドックの距離が近く、ドライバーとファンの交流の盛んな様子がSNSを通して伝わってくる。それに当然イギリス文化の影響が色濃い土地だから、地元のレース・ファンもやはり筋金入りのレース好きだ。中東のサーキットはどこも砂漠の真ん中にあり、その異様な光景は一種のスペクタクルなのだが、やはり人間のドラマの濃密さがメルボルンの美点だ。それはいかにもシーズン開幕に向いている。
毎年、F1ファンもメディアも、開幕戦の予選セッションの結果を見て、各チームの実力に最初の判断を下す。ここでようやく勢力図が分かる。だからこそ待ち遠しいのがこの開幕戦の土曜日の午後だ。それだけに、予選セッションの車列の最後尾でチェッカーを受けた角田がフェラーリの2台を凌ぎ5位に飛び込んだ瞬間、ぼくはもちろん叫んで喜んだ。
チェッカー直後の角田とチームの交信が国際映像にも流された。コックピットの角田は冷静だった。「行こうぜ! ふぅー。──言っただろ、アイス・ラテが効いたんだよ、ベイビー。アイス・ラテがさ」と英語で穏やかに語る。それに対してチームはすごいすごいと笑うばかりだ。角田は「おれたち、ハード・ワークがんばったよね、間違いなくよくなってる」とつづける。この5年目のドライバーの平常心が頼もしい。
本当に冷静で強いドライバーになった。そしてその速さに世界中の注目が集まっている。ここでシーズン中に1勝できるかどうかがF1ドライバーのキャリアの分岐点である。チームの先輩にあたるセバスチャン・ベッテルは、非力なマシンで優勝して絶対的な王者まで登り詰めた。いまだにF1で勝った日本人はいない。佐藤琢磨も小林可夢偉もその最初の1勝に届かなかった。角田はやってくれそうだ。年々、期待は否応なしに高まる。それだけのことを角田がやっている。レッドブルが角田を乗せないのは全世界共通のミステリーだが、不条理もF1である。レーシング・ブルズのマシンでレッドブルに勝つことが、いま角田が選択できる唯一のオプションであろう。
さて、そのほかにも見どころは多かった。ワン・ツーで終えたマクラーレンの速さはオフ・シーズンの噂通り。マクラーレンのエース・ノリスが地元オーストラリア出身のピアストリとの一騎打ちに勝った。ノリスは角田のトゥを利用し、角田がアタックするラップではノリスがお返しにトゥを与えたことも特筆だ。
3位にフェルスタッペン、4位にラッセルと、レッドブルとメルセデスのエース・ドライバーがつけた。この2つのチームはセカンド・シートに新人を起用し、その新人2人が下位に沈んだことがこのF1の「スポーツ・サイド」の厳しさを物語る。壁に囲まれた公道サーキットのメルボルンは、新人のデビュー戦には最悪の場所だろう。
ほかの新人も苦労したが、その最たる例はハースのベアマンだ。練習走行でミスを繰り返し壊してしまったマシンは結局治らず、予選はタイムなしの最下位となった。日曜日に開き直って活躍するか、やはりまたミスを繰り返すか、ベアマンにとっては精神力を試される開幕戦になる。
古豪ウィリアムズはアルボンが6位、サインツが10位と躍進した。ウィリアムズが速いとF1は華やかになる。
フェラーリは、ルクレールが7位、サインツに代わって今季から加入したハミルトンが8位と並んだ。得意のメルボルンでこの位置は心配になる。昨年はサインツが優勝したのだが。
新人の最上位はレーシング・ブルズのアジャで11位。金曜日からチーム・メイトの角田と遜色のないタイムを出していたところを見ると、レーシング・ブルズのマシンの素性のよさが窺える。
さて、明日の決勝は雨になるらしい。ただでさえクラッシュの多いサーキットである。それに今年は新人も多い。間違いなく荒れるレースになる。まずは一周目、角田が無事にホーム・ストレートに帰ってくることを祈る。
昼も夜も、ちゃんとした料理を作って満足だ。昼は、豚そぼろとホウレン草と玉子の三色丼と、玉ねぎと玉子の洋風スープ。夜は、手羽元とゆで玉子の甘煮、ブロッコリーのボイル、トマトとサニーレタスのサラダ、ホウレン草の味噌汁、米。


