家主よ「Don’t Stop!」、20250107

ちと読者も少ないことなので、阿呆らしくなって、今日は猫に筆をゆずる。ごきげんよう。


家主が8時に起きたから、私も8時に起きた。家主は、とてもやる気があるんだそうで、朝から元気がいい。昨夜、友達と仕事のことも話していたから、それで刺激を受けたのだろう。いつまでつづくことか。

昨夜来た二人は、覇気がないからよかった。以前は一緒に来たもっと若いHくんは、いまはヨーロッパにいるらしい。留学だか遊学の最中だそうだ。彼は性格が明るいし、服に犬の匂いがするから困る。

カーテンを開ける家主の足元で媚びて「おはようございます。腹が減っています。ウェットでお願いします」と伝えると、家主はいちど私を高く持ち上げて、ひげづらを私の全身に擦り付けて、「おお、ねこだ、ねこだ」などと言って降ろし、キッチンに向かいコーヒーの湯を沸かし、トイレで用を足し、キッチンに戻りコーヒーを入れ、それからようやく食事を用意してくれる。それらをすべて、私の食事のあとでやってくれてもいいのだが、食事を頂けるのは有難いことだ。

家主は「かんぱ、かあ」「ぱんぱかぱーん、かあ」「あったかくしよ、かあ」とかなんとか、疑問文とも感嘆文ともとれるような独り言を呟いて、首にブランケットを巻きつけ、エプロンをかけて机に向かった。それを見て安心した。今日は私を首に巻きつけることも、フリースのなかに詰め込むこともなさそうだった。私は私の家に戻って眠ることにした。

私の家は、オーディオ・ラック・マンションの一階の角にある。家主は音楽をよく聴くから、住居の立地として優れているとは言えないが、エアコンの風が当たらず、頑丈で、地震が起きても生存スペースが期待できるから、ここにいるといいらしい。それに高床式かつ断熱材も挟まれ、そのうえ床暖房も入っているから暖かい。設備は優れているのだ。騒音問題は都市生活につきもののトレード・オフだろう。

今日もマンションを揺らすのはローリング・ストーンズだ。机に向かう家主は「Don’t Stop!」のたびに拳を突き上げている。「たまらねえよ」「すきゃわあ」とか呟いている。つくづく阿呆だとは思うが、だからと言って私に害悪はないのだから気にしないことだ。この家主はきれい好きだし、暖房代に糸目を付けないから、私を抱きかかえないかぎりは暮らしやすい相手なのだ。それにどんな方法であれ、仕事を頑張ってくれると私としても安心だ。仕事をしないと暖房代は払えない。

読者のみなさまも、暖かくしてお過ごしください。

自宅前でエクササイズを嗜む筆者。以下すべて家主撮影。
家主は部屋中に温湿度計を置いている。もちろんオーディオ・ラック・マンションにもひとつある。
玄関横の麻布は2年ほど使い方を知らなかったのだが、なんてことはない、爪研ぎだったのだ。設備はいいマンションなのである。だが真上の住人はギター・アンプだ。家主がハード・ロックを好まないのは幸いだ。