アメリカのポピュラー音楽 #1 アルバート・キング「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」、20241019

午後は、ずっと音楽に揺られていた。フォー・トップス、シュープリームス、マーヴィン・ゲイ、テンプテーションズ、とモータウン・レコードをつづけて、そのあとでアルバート・キングを1枚、ボブ・ディランをたっぷり。まさにアメリカって感じだ。これらの音楽は10代のころから聴いていたけど、公民権運動のことがすこしは想像できるようになってから、いま聴くと、格別にいい。もちろん、社会的な背景を知らずに聴いても、どれも音楽自体が素晴らしい。

ぼくの音楽の好みは昔からはっきりしていて、アメリカの音楽が好きだ。ビートルズもローリング・ストーンズもイギリス人ではあるけど、音楽的に分ければアメリカに入る。エリック・クラプトンも言わずもがな。高田渡も完全にアメリカ。忌野清志郎も土岐麻子もアメリカ。ようはみんなブルース、ジャズ、フォーク、カントリー、ソウルなどが好きな人たち。

アメリカという国の成り立ちはさておき、音楽は、とてもいい。しかし、音楽的な大きなキーワードのひとつが「黒人」だから、国の成り立ちとも切り離せはしない。たとえばエレクトリック・ブルースの巨匠で、アフリカン・アメリカンであるアルバート・キングの曲は、リズムをモータリゼーション真っ只中の北部の自動車工場の機械の音に、歌とギター(アルバートのパート)をそこで油にまみれて働く南部から都会に抜け出してきた黒人労働者の叫び、と捉えて情景を想像する。そうして聴くと、ちょっととんでもない。おすすめのアルバムはもちろん、1967年にスタックス・レコードから発売された『ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン』。デラックス・エディションがいくつか出ているけど、まずは11曲入りのオリジナルのものを聴いてほしい。歌唱もいいが、エレキギターの弾き方は間違いなく古典だ。

アルバムの一曲目のタイトル曲「ボーン・アンダー・ア・バッド・サイン」はこんな詩(ブルース)だ。以下、拙訳。


悪い星の下に生まれて、ずっと這いずり回ってる。
これが不運じゃなければ、なにが不運だというのか。

苦難と困難が友達で、10歳のころからそうだった。

読めないし、書き方も知らない。
この人生は、大きな闘争──

ただワインと女に恵まれればそれでいいのに。
きっと脚のでかい女が俺を墓場に運ぶだろう。

悪い星の下に生まれて、ずっと這いずり回ってる。
これが不運じゃなければ、なにが不運だというのか。

この曲はRCサクセションのアルバム『カバーズ』にも収録されている。忌野清志郎はまったく違うアプローチで訳して歌っているのだが、それが見事に日本人の「嘆き」になっている。このアルバムは発売中止になるくらいには社会批判がするどい。選挙期間中のいま、改めて聴くのもいいかもしれない。