産休と育休から職場に戻ったMさんと約一年ぶりの仕事だった。少々寝不足気味とのことだが表情は明るかった。変わらずにお元気そうでなにより。
仕事の合間に街をフラフラしていると、同業のSさんにばったり会った。お会いするのは、やはり一年ぶりくらいか。Sさんはもともとボディ・ビルディングが趣味のお方だが、身体が一段と仕上がっているのが一目でわかる。そういえば以前まだお子さんが生まれたばかりの頃は、筋肉が衰え、顔もやつれていた。いまが充実しているということなのだろう。ボディ・ビルダーゆえに、見た目に調子が表れてしまう。
「いい感じですね」と言って身体を指し示す。
「いやあ、とうとう家を買ってね、子供が幼稚園に行っているあいだはトレーニングができるんだ」
「あ、自宅でね。家かあ、すごいですね」
「いやあ、大変だよ。この40代の十年が大事だなあって思うね」
今日会ったふたり、Mさんは同年で、Sさんは3つ上だ。彼らからマイ・ホームや家族のことを聞くと、どうしたって自分のことを考えさせられる。自ら選んだ山を、ソロで登ることは愉快ではあるが、遭難してもだれも助けてくれないという不安はいつでも付きまとう。だからこそ慎重に歩を進めているつもりなのだが、はたしてどうなることか。充分な装備と体力と技術が欲しい。
