夜の吉祥寺を歩く、2時間35分、20240822

仕事のあとで、スポーツ用に新調したメガネを受け取りに吉祥寺へ向かった。メガネ店で名前を告げると、「ご予約はされましたか?」と聞かれて「いや、しなかったです……」と答えた。これでは池澤夏樹の短編集『きみのためのバラ』の「都市生活」そのままだ。たしかに池澤さんが小説で書いたように「ゴヨヤク」という言葉にはなにか妙な引っ掛かりを感じる。では言い換える方法はないだろうかと、メガネを受け取るあいだに考えたが、とくに思いつかなかった。

メガネはいい出来だった。IZIPIZIというメーカーの登山用サングラスを通販で買って、これに度を入れた調光レンズをはめてもらった。これでランと登山と運転と、昼夜どちらも対応できる。ここのところはずっと裸眼で走っていたから、これで一安心。当たり前だが、足もとがはっきり見えるほうが思いっきり走れるだろう。

「よみた屋」を漁って何冊か仕入れた。この店ほど棚割りの切れ味が鋭い書店をぼくは知らない。

20時前だった。東急のほうに停めたクルマに引き返した。吉祥寺を夜に歩くのは久しぶりだ。最後はコロナ禍の前だったかもしれない。アーケードは怪しく光って、奥の小径へと人を誘い込んでいる。よくこんな××××なところでビールを飲めたものだ。いまとなっては信じられない。酒断ちは7ヶ月になる。「サトウ」では惣菜がちょうど売り切りセールだ。メンチカツ、悪くない。でも両手が塞がっていたから断念。それにもう遅いし、バナナのほうがいいや、という気持ちもあった。

帰って、ちょっとの用事のつもりが後輩と長電話。RCサクセションの「2時間35分」、いい歌だなと思う。しかし走る時間は失った。走ったあとでバナナを買ってきたかったのだが億劫になって諦めた。それで家にあったトマトと梨を夕飯にした。それでも徹底討論は大事だ。すくすくと育つイマジナリー・チャイルド 、自尊心と悪足掻き、インセスト・タブー、芸術のフォーマット、オーウェル、『パパ・ユーア クレイジー』、『独り居の日記』、『キップをなくして』、やがて訪れる大きな悲しみに蓋をしてしまうこと、そして水面下。そうか! そうだったのか!