二子山と羊山公園の武甲山資料館、20240510

2日目は二子山へ。山頂から、昨日登った両神山を正面に眺めるのが目的だ。

秩父市街の宿を出たのは7時ちょうど。たっぷり8時間寝た。299号を西へ約1時間、そこから林道を15分ほどさらに登って、標高約900メートルの駐車場に着いた。山頂が1166メートルだから300メートル程度の高低差だが、難易度は高いというから侮れない。

二子山というだけあって双耳峰だ。駐車場からたった5分登ると西岳と東岳の分岐。両方登るつもりで、とくに考えもなしにまずは西岳に足を向けた。

西岳には上級者コースと一般コースの2つのルートがある。カメラをバック・パックにしまい、ヘルメットをかぶってから上級者コースに取りついた。ほとんど垂直の岩壁を、3点確保を強く意識しながら登った。10メートルか15メートルぐらいよじ登ると、周りの樹々から頭が出て、視界が一気に開ける。そしてとんでもない高さを感じる。周囲360度の空白の中に自分だけが取り残された感覚だ、なんて言うと、おそらくロック・クライマーが笑うだろう。壁にへばりついたまま後ろを振り返ると東岳の岩壁がやはり森から突き出ている。「おれは、こんな壁を登っているのか」と現実を見せつけられて、はっきり言ってくらくらした。足がすくんだ。怖い。

壁を降りるのは難儀だが、まだ引き返せると判断してすごすごと退散した。無事に、壁から森の中に戻って安心した。いやはや、死を、たしかに近くに感じた。実際のところ、あれはミスしたら死ぬ。

改めて、一般コースから登った。一般コースだって、それほど簡単なものではなかった。岩の壁の上の稜線に出ると上級者コースと合流して頂上まではあと少し。だが、この稜線がまた怖い。この低山には登山者を魅惑する恐ろしさがある。興奮するのは間違いない。やれやれ、両神山を眺めたかっただけなのだが。

8時半に登り始めて、壁で立ち往生したが、9時半には山頂に着いた。ぼくのほかには誰もいなかった。狭い山頂だが、ゆっくりと1時間も過ごした。思ったとおり、両神山のビュー・ポイントとしてはうってつけだった。

10時45分にはクルマに戻った。下山はたったの30分。今回は東岳には行かなかった。壁での立ち往生で、どっと疲れたから。


秩父市街に戻って、羊山公園の見晴らしのいい丘でランチ。そこから両神山と二子山を遠くに眺めた。

公園内の武甲山資料館に入った。武甲山はコンクリートの原材料の山だ。そしてここがぼくの山登りの原点。ある日突然、コンクリートのことを学びたくなって、まず武甲山を登り、下から上から採石現場を眺めた。それがきっかけで登山を好きになった。3年前の話だ。

そしてこの山が儚い。その山肌はいまも毎日、爆破され削られ、どんどん目減りしていく。この資料館には始めてきたが、やはり古い武甲山の写真が必見だ。人の手がこうも山容を変えてしまうのか、とただ驚く。

注意喚起が徹底している。
熊の住む山なのだ。
こんな心地のいい森の上に岩壁がそそり立っている。
大事な分かれ道。
岩壁の取りつき。この樹々の上に出てから恐怖を感じた。
この垂直の壁に張りついた。
この屏風型の両神山の山容を見たかったのだ。
稜線がまた怖かった。
秩父市街と両神山。右に少し飛び出ているのがおそらく二子山。
これが武甲山。異様だがかっこいい。
,