明け方、猫がじたばたともがいて騒がしかった。元気でよろしい、と思って気にせずに眠ろうとしたのだが、どうも様子がおかしい。苦しそうだ。見てやると、手を口の中に差し込んで、必死にむせている。手も口の周りも血で真っ赤だ。一瞬、ぎょっとはしたが、なるほど、ぐらついた歯を抜きたいのだ。この猫は歯が悪い。いままでになんども歯を落としてきた。抜けるまでが大変なのだが、抜けてしまうとなにごともなかったかのように元気になって、食欲も増す。だから早く抜けてしまった方がいい。
ところが今回は抜くのに苦労しているらしい。むせて、吐き出そうとしているのだが、喉にものがつかえてるわけでないからそれも難しい。かといって手も届かなそう。どれどれと抱きあげると、素直に応じた。ヒトの手も借りたいらしい。だが指で口元を触ると痛むらしく、爪でひっかかれた。普段は温厚な猫だけに、その苦労を察すると胸が痛む。
しばらくして、急におとなしくなった。これはなにかやり方を変えなければだめだと悟ったようだ。そして、玄関の隅にうずくまってじっとしてしまった。そこは彼の縄張りではないのだが。まあ、そっとしておくしかない。動物病院だってまだやっていない。
ふたたび寝て起きると、猫ははげしく食事をせがんだ。血まみれだった体毛も綺麗になっている。歯が無事に抜けたのだろう。床を探すと歯を見つけた。猫は美味そうに食べている。さすがは元ワイルド・キャット。たくましい。一件落着。
仕事から帰ってくると、猫が見当たらない。逃げたか、と思ったがぼくのベッドの枕元で眠っていた。普段はそんなところで眠らない。よほど朝の騒動が骨に染みて、人の温もりを欲したか。こういうところ、猫はかわいい。
ナイト・ゲーム。吉村くんがテンポ良く投げて、打線が繋がる。ああ、野球は面白い。やっぱり首位打者は丸山だよ、これは。試合時間も短くていい。吉村くん、君はまるで上原だね。
