朝、ホテルを出て、北西に15分ほどのところにある富山県美術館まで歩いた。今日は普段着。
企画展は「倉俣史郎のデザイン──記憶のなかの小宇宙」。とてもいい。気に入った。「難しく考えてんじゃないよ、馬鹿が」と、倉俣氏に戒められた気がした。
コレクション展のなかでは「シモン・ゴールドベルク&山根美代子コレクションⅣ」がよかった。
ロビーに降りてカフェで昼食とした。ベーグル・サンド・プレートとコーヒーを2杯。静かにのんびりと食事ができるというのは、とても幸せなことだ。
美術館をあとにして、隣接するの大きな公園を散歩していると、雨が降ってきた。海から風が吹くと、天気は目まぐるしい変化をみせる。以前、青森市街で感じた空気に似ている。
園内のスターバックスに避難して席に落ち着いた。そこでしばらく俳句の推敲にかかった。
天気も回復してきた。まだ日没まで時間はある。急いで宿に戻って、ランニング・ウェアに着替えた。靴はニューバランスのトレラン・シューズにした。
走る。行き先は海。もともと北前船の海運が盛んな土地だから、街には運河が通っている。この河沿いを海に向かって走った。これがなかなか快適なルート。やがて富山港にぶつかる。潮の香りが吹き抜ける路地をあてもなく奥へ奥へと進んでいくと、そこには観光地として機能している古い町並みがあった。通称「岩瀬エリア」というらしい。しかし、地震の影響で古い建物は点検がされており、主要な施設は休館していた。それでも外を通り過ぎるだけで充分に楽しい。
砂浜に出た。時化の日本海の荒波が恐ろしい。貨物船がすぐそこに座礁しているのには驚いた。しばらく砂浜を進んだ。立山連峰の雲が晴れれば、このあたりから海と山を一緒に眺められるはずだったのだが、結局、晴れ間は出ず。そして日没。街へと引き返した。走行距離、20キロ。約2時間。
シャワーを浴びて、街へと繰り出した。まだ20時前だった。これなら食いっ逸れることもない。
とはいえ、のんびりと犬の時間をやるつもりはなかった。走ったばかりで疲れているから、早く食べて、早く帰ってきたい。それで妥協して、ホテルの隣のビルの地下の飲食街に降り、「ごんべい舍」という居酒屋に入った。
そして、ここが、大当たり。なんだ、ホテルの最寄りにあったのか。いいんだ、また来る。今度からはここへしか来ない。
料理は美味いし、店員さんは親切だ。最高だ。地下ということもあって、まさか竜宮城に迷い込んだのではないだろうかと、すこし不安になったぐらいだ。酒はほとんどが富山の銘柄でそれだけでもかなりの種類だ。他には日本海沿いから山口や新潟の酒もある。北前船経済のロマンを感じる。しかし、もちろん飲まなかった。ノン・アルコール・ビールを一本頼んで、そのあとは緑茶にした。こういうのも悪くない。
刺身の盛り合わせ、だし巻き玉子、ブリのカマ焼き、蛍烏賊の沖漬け、氷見牛の煮込み、それにサラダ。


