サムサッカー、20231122

今日もマイク・ミルズの映画を観る。『サムサッカー』。親指しゃぶり。

西海岸の田舎で暮らす17歳の少年は指しゃぶりをやめられない。両親はそのことに気を揉み、ときに言い争う。ある日、かかりつけの歯科医が催眠術を用いて指しゃぶりをやめさせるが、それによって少年の精神状態は悪化する。少年は精神科へ連れていかれ、ADHDだと診断を受ける。少年は投薬による治療を望むが、母親は診断に疑問を持ち、父親は投薬という行為自体に反対する。

あらゆる心身の状態に対して病名が付けられ、誰にでも当てはまりそうな曖昧な症例で類型化することに疑問をもつ人間がいて、そうだとしても薬を使ってなんとか普通になってみたいと思う人間がいる。また、薬などは安易な方法であり根本的な解決は鍛錬によって行われるべきだと考える人間もいる。思春期の少年と周りの大人たちを通して投げかけられるテーゼは意味深い。

結局、少年は治療薬を飲み、効果はすぐに現れる。課題図書のメルヴィルの『白鯨』を一日で読み終え(鯨の学術的論文を読まされるような章が多く決して読みやすい本ではない)、翌日の授業ではそれまでの曖昧な授業態度とはまるで違い、堰を切ったように批評を披露する。白とは始まりであり終わりであり、うんぬん。

少年は所属する討論部でも見出される。顧問は手のひらを返したように少年を持ち上げ、部は大会で好成績を収め始める。それが詭弁であり、目的を忘れた口喧嘩に成り下がっていたとしても、相手を打ち負かすことや、スマートだと思われることの抗いがたい快感に、生まれ変わった17歳の少年は溺れていく。

やはりマイク・ミルズが掬いあげる場面が好きだ。

夜は50分ほどのウォーキングとした。