11時。今日は30キロを走る。
トレーニングの目的は、1ヶ月後に長時間走り続けることを、全身に事前通告すること。日常生活の中では2時間も3時間も身体を動かし続けるということがない。経験にない長時間の運動にさらされた身体は、ある時点を境に動かなくなる。これは登山で覚えがあるからわかる。
そこで、予め、身体をそっと驚かせておくのだ。と、僕は解釈している。
そっと驚かせることが肝要だから、レースでの想定ペースよりも落として、ゆっくり走る。あまり派手に驚かせて怪我をしては元も子もない。夏の間の基礎トレーニングも水泡に帰する。いわゆるロング・スロー・ディスタンス。
フォームを崩さないことも重要。フォームをキープしたままゆっくり走るのが、けっこう大変。
止まらないことが条件だから、コースは多摩川にした。自宅から多摩川に出て上流に向かう。立川公園を過ぎたところで支流に迷い込んでしまった。しかし、その小川の遊歩道が気持ちよかった。どことなく大岡昇平の『武蔵野夫人』の風景を感じさせる。バード・ウォッチャーが何人もいた。道は逸れたが、思惑通り交差点や信号はなし。15キロ地点で折り返した。
20キロまでは問題なかった。最後の10キロが辛かった。いままでの最長距離が20キロだったから、未知の領域に入った途端に乱れた。筋肉は意思とは関係なく固まっていく。心肺にはまだ余裕があった。仕方がないからペースを落とした。それまでのペースが明らかに速すぎたと反省。走行距離30キロ、1キロ6分19秒ペース、走行時間3時間9分。