バーベキュー、I氏の人徳、20230930

もう日曜日の夜、10時になった。昨日の土曜日のことを書く。

忙しい一週間だった。先週の週末に自宅で観戦したF1の日本GPが一週間前のことだとは信じ難い。

昨日の土曜日。僕は旧知の仕事仲間の山梨の別荘を訪ね、楽しい時間を過ごした。

会の趣旨は、日頃クリエイティブを分業しているフリーランス同士の交流会といったところ。主催者のIさんからすると、集まった参加者は外注のパートナーだ。総勢、何人だったろう。ゲストは僕も含めて10名以上の、賑やかなパーティだった。

参加者の多くは、正午前に河口湖畔に集まった。そこから何台かの車で、御坂峠の中腹のI氏の別荘に向かうのだ。僕だけが、その送迎システムを断った。I氏の親切に甘えればいいのに、どうしてもできない。僕は団体行動が苦手だ。それだけではない。旅の移動は、大きな楽しみだから、自分の気分で手段を選びたい。

僕が選んだ手段は、麓の街である中央道の一宮御坂インターの近くにクルマを停め、そこからランニングでI氏の別荘を目指すというもの。会場の別荘までは約10キロ、高低差は約500メートル。箱根駅伝の第5区が約23キロの距離で約800メートルを上るから、難易度は半分程度と見当をつけた。まあ、問題なく走り切れるだろうと。

8時に麓の街に着いて、2時間ほど車の中でのんびりと過ごした。渋滞を避けたかったから早く行動したのだ。

10時に走り出した。予定では1時間半で目的地に着くはずだ。ただただ緩やかな勾配を上り続ける。勾配率5%。必要なのは体力ではなく精神力だと痛感した。

予定通りに11時半ごろにI氏の別荘近くに着いた。しかし、峠の向こうの河口湖畔でのゲストの集合が遅れているという。仕方がないから、山道を散策したり、川の流れを眺めたり、本を読んだりして過ごした。

ようやく一行が到着し、お昼過ぎからバーベキューは始まった。

いい会合だった。僕たちは、I氏を介して、異なる領域のプロフェッショナルが何人も関わって、記事や広告を作っているのだ。しかしクリエイター同士がお互いに会って話す機会はあまりない。今まで名前だけは知っていたが、直接会ったことはないクリエイターたちと初めて顔を合わせて、ゆっくりと話をして、すっかり打ち解けた。

I氏は、東京で会う時と比べると、とてもリラックスしていて暖かい。普段も優しいおじさんではあるのだが。やはり仕事の現場だと、それなりの緊張感があるものだ。これは僕も一緒だろう。

人見知りする僕にしては、とても自然に過ごせた。ホストであるI氏と奥様の心づくしのおかげである。

帰りも走って帰るつもりだった。ところがお土産もいただいて荷物を抱えてしまった。ならばタクシーを呼ぼうかと思ったのだが、ゲストの一人であるKさんが、僕を麓の街までクルマで送ってくれた。Kさんとはまだ一緒に仕事をしたことがない。会うのは今日が初めてである。それなのに、こんな場違いなランニング・ウェアの濡鼠を助手席に座らせてくれるとは。間違いなくいい人だ。僕も何故か、甘えた。

そして中央道のインターの手前でKさんと別れ、僕は自分の車に乗って、帰路に就いた。

僕にはあまり社交性がない、と思っている。今日のような機会は、正直にいうと尻込みする。それでも勇気を出して行ってみてよかった。

その場にいた誰もが、他人の個性を尊重して敬う、そんな素晴らしい雰囲気だったのだ。だから僕も気楽に過ごせた。ゲストはみんな、フリーのクリエイターというだけあって、クセのある個性豊かな面々である。この強者たちをまとめ上げるI氏の人徳に、改めて感動した。

僕にも仲間がいるんだと、強く実感した1日だった、というとあまりに大袈裟かもしれないが、たしかにそう感じて、とても満たされた気持ちでハンドルを握って東京に帰ったのだった。